サイエンス・オブ・ランス・アームストロング

ディスカバリー・チャンネルは絶対、これがやりたいがためにスポンサーになったんだろうなと思ってました。まあ予想通りな感じの内容。スポンサー特権でもっとランス自身のコメントなんかもあるのかと思ってたけど、番組コンセプトが違ったから、まあこんなもんで良かったのかな。


番組を通じてひとつ思ったことがありました。
「ヨーロッパの伝統あるレースで、しかもフランスの最高栄誉のレースで、これまで誰も成し遂げられなかった6連覇の偉業を、アメリカ人が成し遂げてしまう」。それってどうなのよ、という思いが、ヨーロッパの人々になかったとは言い切れない。
そう言われてました。
しかしね。
逆にランスがアメリカ人だからこそ、往年のスター選手でもできなかったことができてしまったんだろう。と思い直しました。


なんていうのかなあ。アメリカ人はスポーツを科学しちゃってるじゃないですか。それはそれで彼らの文化なんでしょうから批判するつもりはないですが。しかしロードレースって「人間味あふれる」「紳士的な」スポーツとも呼ばれているわけですよね。ヨーロッパ人がロードレースに向かう姿勢と、アメリカ人の姿勢はなんか違う。まあ、スポーツであり、プロ選手である以上、勝つことが重要なのは当たり前で、そのためにどんなアプローチをしようが勝手なんですけど。科学を駆使することはズルでも何でもなく、むしろドーピングで捕まっている選手と比べたら真っ当な努力をしていることは十分賞賛に値するもの。しかもガン克服とかアームストロング財団とかいろいろ素晴らしい話もあるわけですよね。そこは素直に尊敬するしかないと思います。リストバンド私もほしい。


なのに、番組の締めで「ランス・アームストロングを抜きにツール・ド・フランスは語れません」とか言われると、なぜかそこに釈然としないものが残るのは……。「フランスパン」という呼び名を追放した国なのにというような思いがどこかでよぎる。やはり文化の違いとしか言えないものか。